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[G20T20 Policy Brief ~Propuestas para alcanzar los Objetivos del Marco Global de Biodiversidad en los países del G20 para 2030.

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こんにちは!
このレポートでは、弊社代表取締役 馬奈木俊介が投稿した、「2030年までにG20諸国で世界生物多様性枠組み目標を達成するための提案」に関する政策概要の解説を行います。

G20の「アイデア・バンク」として位置付けられ,G20各国の有識者及びシンクタンク関係者から構成されるT20(Think20)の2023 Indiaにて弊社代表取締役 馬奈木俊介投稿の、「2030年までにG20諸国で世界生物多様性枠組み目標を達成するための提案」に関する政策概要が採択されました。

Achieving Global Biodiversity Framework Targets in G20 Countries by 2030
https://t20ind.org/research/achieving-global-biodiversity-framework-targets-in-g20-countries-by-2030/


T20の政策概要の採択は今年で3本目です。

参考:過去2回のT20政策概要のレポート

●【解説】G20 T20 India2023 新国富指標を用いた包括的な国富の成長測定に関する政策概要について
https://aiesg.co.jp/topics/report/20230530_t20india_report/

●【解説】G20T20 Policy Brief ~自然資本の保全を推進するための資金調達メカニズムの提案~
https://aiesg.co.jp/topics/report/230807_g20t20_report/


この政策概要は、タスクフォース6:SDGs の加速、2030 アジェンダへの新たな道筋の模索(Accelerating SDGs—Exploring New Pathways to the 2030 Agenda)に位置づけられています。


1. 生物多様性の損失
2022年12月7日から19日までカナダのモントリオールで開催されたCOP15(国連生物多様性条約第15回締約国会議)では、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させるために、「ポスト2020グローバル生物多様性枠組み(GBF:Global Biodiversity Framework)」に取り組むことが決定されました。

GBFは2010年に採択された、愛知目標(COP10)以来の世界的な枠組みです。愛知目標とは、「生物多様性を保全するための戦略計画2011-2020」の中核をなす20個の個別目標からなる世界目標です。しかし、愛知目標の達成率は12%[1]しか達成できておらず、推進方法の抜本的な見直しが強く望まれていました。

GBF草案は22個のターゲットと4つのゴールで構成され、2030年までに世界の陸地と海洋の30%を保護することを目指しています。
しかし、GBFの目標達成には以下の4つの大きな課題があります。

①人為的な圧力や気候変動の問題を考慮した上で、様々な動植物種の急速な絶滅を抑制すること
②指定された期間内にネット・ゼロ・エミッションを達成すること
③環境問題(海面の変化、海水の酸性化、気候変動、汚染、生物の直接搾取、侵略的外来種等)が引き起こす生物多様性と生態系への悪影響に取り組むこと
④マングローブやその他のブルーカーボン生態系の保護

そこで、このPolicy Briefでは、生物多様性を保全するための目標(GBF)を達成するために必要なフレームワークを提案しています。


2. G20の役割
生物多様性の保全のために、十分な資金を配分することが必要です。

そこで、生物多様性ファイナンスに注目が集まっています。生物多様性ファイナンスとは、持続可能な生物多様性管理を支援するために、資本を調達・管理し、財政的なインセンティブを利用することであり、現在、議論と計画のテーマとなっています。これは、生物多様性保全のための実践、戦略、政策を生物多様性融資の取り組みと結びつけるものです([2]Bhattacharya and Bhattacharya, 2019(ibíd.).

経済と生物多様性を結びつけるこの概念は、生物多様性の適切な評価とその後の保全・保護に役立つことが期待されています。世界の生物多様性保全に必要な資金は、年間1,500億~4,400億米ドルと見積もられており([3]Arlaud et al., 2018)、 生物多様性と生態系サービスの保全のために民間セクターから投資を引き出すことは、生物多様性資金調達の大きな課題です。

投資を引き出すためには、生物多様性と生態系の金銭的評価が極めて重要になります。

開発の進捗状況の測定は、国際的に比較可能で、信頼性が高く、きめ細かく、タイムリーなデータに大きく依存します。このデータは、経済的・社会的な幸福だけでなく、環境的・生態学的な持続可能性をも包含する多次元的な幸福の測定基準を導き出すものであり、細分化することが可能で、確かな指標に基づくものでなければなりません。
世代間および包括的な幸福のための新しい測定枠組みを採用するには、国際的な協力が不可欠です。
そのため、グループ内外の世界的な政策立案に影響力を持つG20は、開発の進捗状況の測定データ収集作業に牽引力を与える理想的なプラットフォームであると言えます。


3. G20諸国へ向けた提言
本セクションでは、G20加盟国全体でGBFターゲットを採用し、実施するために取り得るステップを3つ紹介します。

提案1:地域の指標化メカニズムを通じた都市の生物多様性と生態系の保全
インドの国民生物多様性登録簿(PBR:People’s Biodiversity Register)※1のような取り組みのように、都市の生物多様性指標(CBI:City Biodiversity Index)をG20諸国のすべての都市に義務付けるべきです。CBI(シンガポール指標とも言う)は、都市や自治体の生物多様性保全の取り組み状況を評価し、基準値に照らしてモニタリングするためのツールです。

実際に、インドの3つのスマートシティ(プネー、ファリダバード、ライプール)でCBIを実施したところ、データが著しく不足していることがわかりました。限界はあるものの、CBIスコアによって、これらの都市における生物多様性保全と関連プログラムのギャップを特定し(図1)、生物多様性と生態系の状態を向上させるために注意を払う必要がある分野を指摘することができます([4]Bhattacharya, 2017(ibíd.).

図1.都市別 CBI指標の比較(出典:Bhattacharya, 2017)


提言2:異なる生態系における炭素貯留と生物多様性保護のための効果的な管理政策
◎湿地生態系
生態系の安全保障を確保するためには、湿地やその他の生態系を保護・保全することが急務です。湿地は、さまざまな生態系の中で最大の炭素隔離ポテンシャルを持っています(図2)。しかし、湿地の管理が定期的または規定された方法で行われなければ、炭素排出源となる可能性があります([5]Biswas et al.,2018)。 したがって、湿地の賢明な利用と統合管理、定期的なモニタリングが湿地にとって極めて重要であり、これによって炭素隔離率を何倍にも高めることができます。

図2. 湿地は他の生態系の中で最大のCO2吸収ポテンシャルを持つ
(Fuente:[6]Hendriks et al.,2020)

【主なアクションポイント】
●州の湿地アセスメントは、GPS技術とWetland Health Card(湿地健康カード)を活用して実施する
●排出の停止、回収、純排出量を定期的に報告し、州の排出インベントリに計上する
●利害関係者に対する定期的な意識向上プログラムを実施する
●生態系の構成要素、プロセス、および湿地が提供する便益/サービスの組み合わせを含む生態学的パラメータを維持する

◎ブルーカーボン生態系
沿岸のブルーカーボン生態系は、大気中のCO2隔離において重要な役割を果たしており、ネットゼロ目標の達成と気候変動の緩和に大きく貢献する可能性があります([7]Taillardat et al., 2018)。 ブルーカーボンとは、植生した沿岸生息地によって取り込まれ、生きた海洋生物によって蓄積された炭素を指します([8]Nellemann et al., 2009)。マングローブ、塩性湿地、海草藻場は、その高い炭素蓄積量と長期的な炭素貯蔵能力から、ブルーカーボンと呼ばれています([9]Akhand et al., 2022(ibíd.). 

インドには7,500kmを超える長い海岸線があり、3つのブルーカーボン生態系が豊富に存在します([10]Kathiresan, 2018; [11]Jayanthi et al., 2018; [12]Thangaradjou and Bhatt, 2018)。表1は、インドにおけるブルーカーボン生態系の商業価値を示しています([13]Pendleton et al., 2012; [9]Akhand et al., 2022)。インドのマングローブに蓄積された炭素は、4億6900万~5億427万米ドルです。 統計によると、インドのブルーカーボン貯留価値は、世界で毎年失われる炭素の最小量にほぼ相当します。

ブルーカーボン生態系の保護と強化は、G20各国政府にとって優先すべき政策です。


表1. インドにおけるブルーカーボン生態系の価値とその平均値
(出典:Akhand et al., 2022)

【主なアクションポイント】
●マングローブが提供する生態系サービスの定量化を急ぐ
●ブルーカーボンの正確な商業価値を算出するために、IPBESの手法、自然資本会計、投資モデル、費用便益分析、移動コスト法など、さまざまな生態系サービス評価手法を採用する
●生態系サービスとトレードオフの統合評価(InVEST)モデルは、炭素隔離、土砂の保持と輸出、栄養塩類の輸出を定量化するために利用できる([14]Kadaverugu et al, 2022; [15]Dasgupta, 2021; [16]Hashimoto et al, 2019(ibíd.).
●生態系モニタリング、統合管理、資源保全のためのリモートセンシングやGISを利用した測量の増加は、マングローブ保護のために極めて重要である([16]Hashimoto et al, 2019)
●高潮やサイクロンなどの沿岸災害の影響を軽減するためには、土壌浸食を食い止める努力とともに、沿岸の保全と開発対策が必要である
●意思決定プロセスを改善し、ブルーカーボン生態系の効果的な保全政策を策定するために活用されるシナリオ分析([16]Hashimoto et al, 2019)


提案3:グリーンクレジット制度による生物多様性保全のための革新的な資金調達:グリーンクレジットメカニズム
リゾート開発や工場建設などの経済プロジェクトのために、生態系ユニットの一定数を開発に用いると、それらの生態系ユニットは失われてしまいます。開発者が生態系を回復することが難しい場合は、市場や銀行からクレジットを購入しなければなりません。対象となる生態系が湿地、河川、その他の水生資源である場合、この種のスキームはミティゲーション・バンキングと呼ばれます。歴史的には、ミティゲーション・バンキング制度は1980年代に始まりました。

今日、このような保全のためのバンキング制度は、アメリカ、オーストラリア、フランス、ドイツなどの国々でますます導入が進んでいます。今こそすべてのG20諸国が、保全資金調達のためのグリーン・クレジット・メカニズムを導入すべき時です([17]Higashida et al., 2019

【主要なアクションポイント】
●自然保護目的のために十分な財源を集めるには、グリーン・クレジット・メカニズムの国家計画との連動やCSR資金の活用など、革新的なメカニズムによって達成することができる
●保全努力のための公的資金と民間資金の蓄積の組み合わせを確保するためには、混合財政計画が必要である

生態系と生物多様性を保全するため、湿地やブルーカーボンを保全することの重要性を説き、必要な財政システムについて提案しています。
ぜひご一読ください。


※1生物多様性登録簿(PBR:People’s Biodiversity Register)
地方自治体レベルで生物資源に関する情報を収集する生物多様性管理委員会(BMC : Biodiversity Management Committees)の管理下にある特定の地域や村で、利用可能な生物資源(植物、動物、微生物、遺伝物質等)に関する包括的な情報を記載した法的文書。PBR は BMC が地元住民と協議しながら作成している。


Bibliografía
[1]環境省:地球規模生物多様性概況第5版(GBO5), https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/aichi_targets/index_05.html

[2]Bhattacharya, Tania and Anindya Bhattacharya. “Financing biodiversity action plan using state appropriation account analysis: A case study of an Indian state.” Ecosystem Services 39 (2019): 100971.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2212041618303024

[3]Arlaud, Marco et al. “The biodiversity finance initiative: an approach to identify and implement biodiversity-centered finance solutions for sustainable development.” Towards a Sustainable Bioeconomy: Principles, Challenges, and Perspectives (2018): 77–98.
https://www.springerprofessional.de/en/the-biodiversity-finance-initiative-an-approach-to-identify-and-/15402718

[4]Bhattacharya, T.R. “Comparative assessment of ecosystem and biodiversity conservation measures in Indian smart cities: a city biodiversity index approach.” Int J Sustain Futur Hum Secur 5, no. 2 (2017): 18.
https://www.researchgate.net/publication/321664446_Comparative_Assessment_of_Ecosystem_and_Biodiversity_Conservation_Measures_in_Indian_Smart_Cities_A_City_Biodiversity_Index_Approach

[5]Biswas, Protusha, Tania Bhattacharya, Abhra Chanda, Sourav Das and Sugata Hazra. “Urban wetlands–CO2 sink or source? A case study on the aquaculture ponds of East Kolkata wetlands.” Int J Recent Sci Res 9 (2018): 24158–24165.
https://recentscientific.com/urban-wetlands-%E2%80%93-co2-sink-or-source-case-study-aquaculture-ponds-east-kolkata-wetlands

[6]Hendriks, Kees, Susan Gubbay, Eric Arets and John Janssen. “Carbon stocks and sequestration in terrestrial and marine ecosystems: a lever for nature restoration?”,(2020).
https://www.researchgate.net/publication/360219317_Carbon_stocks_and_sequestration_in_terrestrial_and_marine_ecosystems_a_lever_for_nature_restoration_A_quick_scan_for_terrestrial_and_marine_EUNIS_habitat_types

[7]Taillardat, Pierre, Daniel A. Friess and Massimo Lupascu. “Mangrove blue carbon strategies for climate change mitigation are most effective nationally.Biology Letters 14, no. 10 (2018): 20180251.
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2018.0251

[8]Nellemann, Christian and Emily Corcoran, eds. “Blue carbon: the role of healthy oceans in binding carbon: a rapid response assessment.UNEP/Earthprint, 2009.
https://wedocs.unep.org/handle/20.500.11822/7772;jsessionid=6F4072662344967C94290ADB966E51D8

[9]Akhand, Anirban, Abhra Chanda, Yusuf Jameel, and Rajarshi Dasgupta. “The present state-of-the-art of blue carbon repository in India: a meta-analysis.Sustainability Science (2022): 1031-1042.
https://link.springer.com/article/10.1007/s11625-022-01181-4

[10]Kathiresan, K. “Mangrove forests of India.” Current Science (2018): 976–981.
https://www.i-scholar.in/index.php/CURS/article/view/169210

[11]Jayanthi, M., S. Thirumurthy, G. Nagaraj, M. Muralidhar, and P. Ravichandran. “Spatial and temporal changes in mangrove cover across the protected and unprotected forests of India.” Estuarine, Coastal and Shelf Science 213 (2018): 81–91.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0272771418302968

[12]Thangaradjou, T. and J.R. Bhatt. “Status of seagrass ecosystems in India.” Ocean & Coastal Management 159 (2018): 7–15.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0964569117305021

[13]Pendleton, Linwood et al. “Estimating global ‘blue carbon’ emissions from conversion and degradation of vegetated coastal ecosystems.” PLoS ONE 7(9): e43542.
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0043542

[14]Kadaverugu, Rakesh et al. “Scenario-based quantification of land-use changes and its impacts on ecosystem services: a case of Bhitarkanika mangrove area, Odisha, India.” Journal of Coastal Conservation 26, no. 4 (2022): 30.
https://link.springer.com/article/10.1007/s11852-022-00877-0

[15]Dasgupta, Partha. “The Economics of Biodiversity: The Dasgupta Review. Abridged Version.” 2021.
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/957292/Dasgupta_Review_-_Abridged_Version.pdf

[16]Hashimoto, Shizuka et al. “Scenario analysis of land-use and ecosystem services of social-ecological landscapes: implications of alternative development pathways under declining population in the Noto Peninsula, Japan.Sustainability Science 14 (2019): 53–75.
https://link.springer.com/article/10.1007/s11625-018-0626-6

[17]Higashida, Keisaku, Kenta Tanaka and Shunsuke Managi. “The efficiency of conservation banking schemes with inter-regionally tradable credits and the role of mediators.Economic Analysis and Policy 62 (2019): 175–186.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0313592618300766


【紹介文献】
Bhattacharya , T. R., Managi, S., & Dasgupta, R. (2023, July). 
Policy Briefs T20 for the Presidency of G20 in 2023, The G20 Insights Platform, Global Solutions Initiative Foundation,Achieving Global Biodiversity Framework Targets in G20 Countries by 2030.
https://t20ind.org/research/achieving-global-biodiversity-framework-targets-in-g20-countries-by-2030/


*Página relacionada*.
●T20 Indonesia
https://www.t20indonesia.org/

●【解説】G20 T20 India2023 新国富指標を用いた包括的な国富の成長測定に関する政策概要について
https://aiesg.co.jp/topics/report/20230530_t20india_report/

●【解説】G20T20 Policy Brief ~自然資本の保全を推進するための資金調達メカニズムの提案~
https://aiesg.co.jp/topics/report/230807_g20t20_report/

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