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2024年9月にaiESG代表取締役の馬奈木俊介が共同執筆したESGパフォーマンスと財務的影響に関する論文が出版されました。
Yoshida, K., Xie, J., Managi, S., & Yamadera, S. (2024). Environmental, Social, and Governance Performance and Financial Impacts: Comparative Analysis of Companies in Asia. ADB Economics Working Paper Series, No. 741. https://doi.org/10.22617/WPS240415-2
論文では、インクルーシブ・ウェルス(Inclusive Wealth:包括的な富、新国富)を経済レベルの持続可能性指標として導入し、これがESG活動の財務的影響を調整する要因であることを明らかにしました。この指標を用いることで、地域や経済ごとのESGの効果の違いを説明し、企業が地域特性に応じたESG戦略を採用する重要性を強調しています。
【論文概要】
「アジアの企業における環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance、ESG)のパフォーマンスと財務的影響」をテーマに、38の経済圏における2013年から2022年までの比較分析。特にアジア企業に焦点を当て、以下を報告。
1. ESG評価の差異:
ESG評価には、主要な評価機関間での手法の違いにより大きな差異が見られた。評価項目の不一致が投資判断を複雑にし、誤解を招く可能性がある。
評価機関(Refinitiv、Bloomberg、MSCI、Arabesque S-Ray、Moody’s、Morningstar ESG)
2. アジア企業のESG向上の余地:
アジア企業は、ヨーロッパ企業に比べてESGパフォーマンスを向上させる余地が大きく、特に東南アジアでは、ESG活動が財務パフォーマンスにより強い正の影響を及ぼすことが確認された。
3. インクルーシブ・ウェルス(Inclusive Wealth)の影響:
持続可能性指標である「インクルーシブ・ウェルス」は、ESG活動の財務的影響に大きな影響を与えることが分かり、各地域の特性に応じたESG戦略の策定が重要だと示唆された。
《プロフィール》
馬奈木 俊介 aiESG代表取締役
九州大学 主幹教授。国連Inclusive Wealth Report Director。気候変動に関する政府間パネル (IPCC) 代表執筆者。OECD貿易と環境に関する共同作業部会副議長等多くの国際機関や企業との連携を実施。日本学術会議サステナブル投資小委員会委員長。気候変動に関する政府間パネル (IPCC) 代表執筆者。長年のESG研究をもとにaiESGを創業。
aiESGサービスについてのお問い合わせ: https://aiesg.co.jp/contact/
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