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Введение.
10月は自然と生物多様性の分野で世界の環境目標を前進させる重要な進展がありました。10月21日から11月1日まで、コロンビアのカリで開催された「国連生物多様性会議(COP16)」において、国際的な交渉が行われました。190カ国以上の代表が一堂に会し、生物多様性を保護し、2030年までに達成すべき重要な世界的保全目標に向けた意欲的な戦略を策定しました。
同時に、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、世界中の企業や金融機関の増大する関心と取り組みを反映した重要なアップデートを発表しました。現在、502社のアーリーアダプターが参加し、これらの企業は総資産管理額(AUM)1.7兆ドルという驚異的な規模を誇ります。これは、世界の市場における自然関連財務の透明性の影響力がますます高まっていることを示しています。さらに10月28日には、日本政府からの資金提供が確定したことが発表され、同開示フレームワークに対する市場参加者や政府機関からの強力な支持が明確に示されました。
本記事ではこれらの動向を掘り下げ、日本企業がこれらの進化する国際イニチアチブやフレームワークと期待に適応していくための影響について考察します。
TNFDに関する過去の記事は下記よりご覧ください:
[Пояснение] Что такое ТНФД? Новый мост между финансами и природной средой
【解説】TNFDの開示状況と課題
【解説】TNFD最終提言のポイントと企業が求められる対応
【解説】TNFDアーリーアダプターとその特徴
岐路に立つ生物多様性—コロンビアでのCOP16に向けた世界の取り組み
世界経済フォーラム(WEF)の「グローバルリスク報告書 2024」によると、生物多様性の損失は今後10年間で最も重大なリスクのトップ3に入るとされています。この警告は、重要な評価である「生物多様性及び生態系サービスに関するIPBES地球規模評価報告書」の発見と一致し、生息地の破壊、汚染、気候変動、資源の過剰利用、侵略的外来種の影響により、生物多様性が急速に減少していることが記録されています。これらの脅威の複合的な影響により、約100万種が絶滅の危機に瀕し、食料安全保障、清潔な水、人間の福祉にとって不可欠な生態系が危機にさらされています。この危機に対処するには、政府、企業、市民社会、地域コミュニティが協力して、効果的かつ持続可能な解決策を緊急に開発することが求められます。
このような背景の中、2024年10月21日から11月1日まで、コロンビアのカリで「生物多様性条約(CBD)」の第16回締約国会議(COP16)が開催されました。本会議は、国連環境計画(UNEP)の支援の下で運営され、生物多様性保全を促進し、自然破壊と生物多様性の損失を防ぐための目標を実現するために、国際的な取り組みを継続的に推進するものです。
生物多様性条約(CBD)は、1992年にリオデジャネイロで開催された画期的な「地球サミット」で「アジェンダ21」(後に2000年にMDGs、2015年にSDGsへと進化)やUNFCCC(気候変動に関する国際連合枠組条約)と共に採択されて以来、世界の生物多様性保全の取り組みの基盤として進化を続けてきました。また、持続可能な開発や気候変動アジェンダと連携しながら発展を遂げ、現在もグローバルな生物多様性保全の取り組みの礎となっています。
図1:生物多様性に関連する主な国際的な進展のタイムライン(他の主要なイニシアチブと並行して進展)。出典:著者による編集。
(注:以上の図は、持続可能な開発、気候変動、生物多様性の3つの主要なグローバルイニシアチブの軌跡を示した簡略図です。実際には、これらのイニシアチブは相互に関連し合い、影響し合い、シナジーをもって進展しています。また、1992年のサミットでは、森林原則や砂漠化防止条約(UNCCD)など、さらに多くのイニシアチブが採択されました。)
2010年、愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において、生物多様性条約(CBD)の196の締約国(195カ国とEU)は、「愛知目標」として知られる歴史的な合意を採択しました。この目標は、5つの戦略的ゴールと20の行動志向の目標から成り、生物多様性の損失を止め、天然資源の持続可能な利用を促進し、遺伝資源からの利益の公正な配分を2020年までに実現するという野心的な目標を掲げていました。
図2:愛知目標。出典: 環境省 「地球のいのち、つないでいこう:生物多様」https://www.biodic.go.jp/biodiversity/possibility/tools/files/BD_panel_new.pdf
しかし、目標年である2020年を迎えた際に発表されたCBDの旗艦報告書は、これらの目標が一つも達成されていないという厳しい現実を示し、多くのメディアが指摘したように、自然破壊を止めるという使命において世界のコミュニティが深刻な失敗を遂げたことが浮き彫りになりました。
この厳しい現実を背景に、2022年にモントリオールで開催されたCOP15において、世界のコミュニティは再び集結し、画期的な「昆明・モントリオール生物多様性枠組み(Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework: GBF)」を策定しました。この枠組みは、生物多様性の損失と生態系の回復に対処するため、2050年に向けた4つの野心的な目標と、2030年までに達成すべき23の具体的なターゲットを設定しています。
図3:COP15の代表者は、昆明・モントリオール生物多様性枠組み(GBF)の設立に合意。
出典:公式CBDプレスリリース – 2022年12月22日、モントリオール https://www.cbd.int/article/cop15-final-text-kunming-montreal-gbf-221222
図4:生物多様性条約締約国会議で採択された決定15/4 – 昆明・モントリオール生物多様性枠組。
出典:https://www.cbd.int/doc/decisions/cop-15/cop-15-dec-04-en.pdf
GBFの2050年目標は、生態系の健全性を維持し、絶滅リスクを減少させ、持続可能な利用を通じて人々のニーズを満たし、遺伝資源からの利益を公正に分配することです。また2030年ターゲットは、陸域と海域の30%の保護、劣化した生態系の回復、汚染の削減、生物多様性保全のための資金調達の促進など、幅広い重要分野を網羅しています。
図5:「2030⽣物多様性枠組実現⽇本会議(J-GBF)」によって提示された23のGBFターゲットのスマート版。
出典: 2030⽣物多様性枠組実現⽇本会議(J-GBF) https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/j-gbf/tool/pdf/gbf_smart.pdf
この枠組みは、生物多様性に対する新たな世界的なコミットメントを示し、自然の衰退を逆転させる希望を提供しています。GBFは、保全、持続可能な利用、利益の公正な分配に対する統合的なアプローチを強調し、生物多様性が気候変動、食料安全保障、人間の福祉と相互に関連していることを認識しています。GBFの成功は、効果的な実施、十分な資金提供、そして世界的な協力にかかっており、人類と自然の関係における転換点となる可能性があります。
その後、2024年10月にコロンビアのカリで開催された最新のCOP16では、初期の進捗を確認し、実施の課題に取り組み、これらの野心的なGBFターゲットを達成するための協力体制を強化することに重点が置かれました。
図6:コロンビアのカリで開催された生物多様性条約第16回締約国会議(CBD COP16)。出典: https://www.cop16colombia.com/es/en/
自然への取り組みに動き出す民間セクター:TNFDフレームワークに基づく自然関連情報開示の進展
GBFの23のターゲットの中でも、ターゲット15は、民間セクターと生物多様性保護の間における重要な接点として際立っています。このターゲットは、企業や金融機関が生物多様性に関連するリスクや負の影響を評価、開示、削減する役割を具体的に求めています。ターゲット15の主な目的は次の通りです:
- 企業や金融機関が、自社の事業、サプライチェーン、バリューチェーン、さらにはポートフォリオにおける生物多様性のリスク、依存関係、影響を定期的に監視・評価し、透明性をもって開示することを促進する。
- 消費者に対して、持続可能な消費行動を促すための情報を提供することを促進する。
- アクセスと利益共有に関する規制の遵守状況について確実に報告する。
このターゲットの最終的な目標は、生物多様性への負の影響を段階的に削減し、正の影響を増加させ、持続可能な生産パターンを促進することです。
図7:GBF枠組みのターゲット15 (J-GBFのスマート版)。
出典: 2030⽣物多様性枠組実現⽇本会議(J-GBF)https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/j-gbf/tool/pdf/gbf_smart.pdf
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、ターゲット15の実現において主要な役割を果たす存在として浮上しています。TNFDは、組織が自然関連のリスク、影響、依存関係を評価・報告するための包括的なフレームワークを提供しています。その使命は、企業が生物多様性リスクを開示する方法について標準化されたガイダンスを提供することにより、世界の金融フローをネイチャーポジティブの結果へとシフトさせることです。このフレームワークにより、企業は自然への配慮をリスク管理プロセスに統合し、グローバルな生物多様性目標への貢献を確保することが可能となります。
TNFDフレームワークは任意の制度ですが、非常に影響力のあるものとして設計されています。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の成功を基に構築されており、TCFDが産業全体で気候リスク報告を主流化したように、TNFDも自然関連リスクに焦点を当てることで、企業が生物多様性の損失が自社の事業と収益性に及ぼす影響を理解できるよう支援し、投資家にとっても意思決定のための重要な情報を提供します。
2024年10月25日、カリで開催されたCOP16において、TNFDは502社の企業および金融機関がTNFDの任意の報告勧告を実施していることを発表しました。これらの採用企業は総計17.7兆ドルの資産運用額(Assets Under Management: AUM)を代表し、自然にプラスの実践に向けた市場の勢いが増していることを強調しています。この急速な採用の増加は、民間セクターが自然関連リスクの管理の重要性を認識し、グローバルな持続可能性フレームワークに整合しつつあることを示しています。
特に、アジア太平洋地域がこの動きのリーダーとして台頭しています。現在の502社のTNFD採用企業のうち、236社がアジア太平洋地域からであり、その半数以上(133社)が日本に本社を置いています。
自然保護におけるリーダーとしての日本
2024年10月28日にカリで開催されたCOP16で発表されたもう一つの重要なニュースは、TNFDが日本政府からの財政支援を確保したことです。この支援は、日本が世界的な生物多様性損失への取り組みに対する長年のコミットメントを示しています。
日本政府は、1993年から生物多様性条約(CBD)の締約国として活動しており、2010年に名古屋で設定された「愛知目標」など、CBDプロセスへの積極的な参加を通じて、世界的な生物多様性損失への対応に一貫して取り組んできました。この愛知目標は、2011年から2020年までの10年間の生物多様性に関するグローバルな議題を設定するものでした。
また、日本は2021年半ばにTNFDが設立されて以来、国内の市場参加者に対してTNFDへの取り組みを奨励しています。日本はTNFDへの関与において大きな役割を果たしており、日本人リーダーがタスクフォース内で積極的な役割を担うとともに、産業団体や学術機関がTNFDのグローバルなデータイニシアチブをサポートする専門知識を提供しています。
日本のリーダーシップの影響は明確であり、130以上の日本企業や金融機関が2023年9月に発表されたTNFDの勧告に沿った自然関連の評価および報告を進めています。このような背景を踏まえ、日本企業によるTNFDのさらなる導入の動きは今後も続くと予想されます。
今後の展望—日本企業への示唆
上記の国際的な進展は、生物多様性が持続可能な開発や気候目標と並んで、また連携して重要な位置を占めていることを示しています。2030年までにCBDの「昆明・モントリオール生物多様性枠組み(GBF)」のターゲットを達成するための進捗は、気候変動対策やSDGsの取り組みを補完するテーマとして、今後のグローバルな議論の中心となるでしょう。
特にターゲット15が注目されていて、これを実行に移すためのTNFDの任意フレームワークの活用が急速に進んでいます。早期導入者による運用資産額(AUM)の大規模な取り組みは、この動向の象徴といえます。
日本企業においても、ネイチャーポジティブを目指し事業運営の透明性を高めることが求められる可能性が高まっています。日本政府がCBDでの積極的な役割やTNFDへの財政支援を通じて生物多様性イニシアチブを推進している姿勢から、今後さらに多くの日本企業がTNFD開示に参加するよう奨励されると予想されます。これは日本の「生物多様性国家戦略2023-2030」と一致し、自然損失への積極的な取り組みを目指しています。
このような背景のもと、日本企業は今から自然関連の開示に備えて、関連データの収集を始めることが賢明です。この準備により、将来的な規制要件への対応や持続可能性と環境保護におけるグローバルなベストプラクティスへの整合が可能になります。
こうした準備の過程において、多くの企業は強力な外部ESGコンサルティングや分析サービスの支援を受けることで恩恵を受けるでしょう。例えばaiESGは、日本国内および世界において、企業の特定の製品やサービスに関連するESGへの影響、リスク、機会について包括的な洞察を提供します。独自のAIアルゴリズムと最先端の科学的研究を活用することで、サプライチェーン全体(原材料の採取にまでさかのぼる)に関連する多様なESG変数を把握することが可能です。これにはTNFDなどの自然関連の開示に直接関連するESG課題だけでなく、社会や人権に関する問題も含まれ、多くの企業が把握に苦労している領域を網羅しています。
まとめと主要なポイント
自然はますます世界の課題の中心となっていて、2030年までの昆明・モントリオール生物多様性枠組み(GBF)の目標達成に向けた取り組みが気候目標やSDGsと整合しています。
民間セクターは、情報開示やデューデリジェンスに関する様々なイニシアチブの勧告に合わせて対応を進めています。これには任意のフレームワークであるTNFD(任意ではあるものの、無視するにはコストがかかるようになりつつあります)だけでなく、各国(例:ドイツのサプライチェーン法、フランスのデューティ・オブ・ビジランス法)や地域(例:EUのCSRDおよびCSDD)における法的要件も含まれます。
日本政府は生物多様性保全の推進においてリーダーシップを発揮している国の一つであり、CBDやTNFDにおける積極的な役割からも明らかなように、模範を示すことにコミットしているようです。さらに、日本は「生物多様性国家戦略2023-2030」を策定することで、自然損失への取り組みに先んじています。
このような背景を踏まえ、日本企業は今から自然関連の開示に備えて関連データの収集を開始することが賢明です。この準備により、将来の規制要件への対応が可能となり、持続可能性や環境保全におけるグローバルなベストプラクティスに整合することができます。
aiESGは、日本企業がESG分野における最新の国際的な動向とトレンドを把握し続けることを支援するとともに、独自のESG分析サービスと洞察を提供することに専念しています。ご質問がある場合は、ぜひзапросください。
(レポート作成:Myasoedov Fedor ESG調査部)
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