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【ボードメンバー対談|前編】社会と企業の理想を叶えるために、aiESGが果たす役割。

イントロダクション

九州大学・馬奈木俊介研究室から生まれた、アカデミア発スタートアップである株式会社aiESG。欧米をはじめ日本でもESGに関する法規制の整備が進み、企業により高度なサステナビリティ対応が求められています。よりよい社会の実現に向けて、企業が直面している根本的な課題は何なのか。ESGを取り巻く環境は、今後どのようになっていくのか。
株式会社aiESGのボードメンバーに、じっくり話を伺いました。

対談者プロフィール

馬奈木 俊介:代表取締役/九州大学 主幹教授
関 大吉:最高経営責任者(CEO)
キーリーアレクサンダー竜太:取締役兼チーフリサーチャー(CR)/九州大学 准教授
武田 秀太郎:チーフサイエンティフィックアドバイザー
モデレーター:片山 亜沙美 /aiESG 広報


前編
研究分野を横断して社会課題を「見える化」。ESGを本質的に前進させる。

馬奈木俊介研究室では、社会課題においてまだ「見える化」できていない部分を数値化・可視化する研究が行われています。
対象領域も、環境や資源、エネルギーといった社会課題から、企業によるESGへの取り組み、GDPでは測れない人の豊かさなど広範囲。株式会社aiESGはなぜ立ち上げたのでしょうか?

馬奈木

ESGやSDGsという概念は抽象的で、企業や自治体がESGの専門家と会議をしても、具体的な解決策が提示されないまま終わることが多くあります。しかし、具体的な提案と実行がなければ、本当に解決することは不可能です。

産学連携プロジェクトにも多々取り組んできましたが、より大きなインパクトを生むには、企業や自治体と深く関わり、ともに解決策を見つけていく必要がある。そのために、株式会社という形でaiESGを立ち上げました。

皆さんは馬奈木先生をどのような存在と見ていますか?

キーリー

馬奈木先生は、どんな場面でもファクトを元にESGを語れる方です。もし一国の首相クラスに急に呼ばれたとしても、物怖じせずに語れるでしょう。これまでに膨大な知見の蓄積があり、アカデミアのトップジャーナルとしても評価されている。世界の潮流をとらえ、次に必要になることを示していく「コンパス」のような存在だと思います。

研究論文はSDGsやESGの領域で群を抜いていますし、他の領域での研究成果も豊富です。
2014年からは、国連代表として「Inclusive Wealth Report(新国富報告書)」の作成にも携わり、環境省や経産省などの行政機関とも関わりながら活動されています。研究を社会に実装していく姿勢は、本当に素晴らしいです。

武田

どの業界に行っても、馬奈木先生を知っている方がいて、権威として認識されている。専門分野を持って掘り下げることが重視される学者の世界では、あまりないことです。
一方で馬奈木先生は、ひとつの分野に限定せず、さまざまな分野のキーとなる方と共同でプロジェクトをやっていたり、ネットワークを持っている。
ESGというものは、特定の専門領域だけでは扱えない、非常に幅広い分野です。ひとりで全体を見ることができる方は、日本ではほぼいないのではないでしょうか。

馬奈木

私の根底には「役に立つものをつくりたい」という思いがあります。
社会課題を100%解決することは難しい。しかし、少しでも前進できれば、その時々で必要な専門家と協力し、次の手を見つければいい。
重要なのは、空論ではなく、実際に使われて社会がよくなるものを生み出していくことです。そのために、社会課題を数値化・可視化することが不可欠だと考えています。

武田

ESGのような大きなテーマは、さまざまな分野を横断して、先進的な知見を集めなければ、本質的な課題解決は実現できません。それが、aiESGなら可能なわけです。

環境に関する評価手法に留まらず、人権、衛星データ、そしてAIに至るまで。幅広い分野の良い研究が集まり、混ざり合う環境は、他では考えられません。本質的な課題解決のために必要なのは、aiESGのように、学術的かつ横断的にESGを捉えられる存在だったんだ思います。

製品・サービス単位で、サプライチェーン全体を遡って評価できる世界初のAI技術。

なぜ企業単位ではなく、製品・サービス単位のESG評価に焦点を当てたのでしょうか。

馬奈木先生はもともと、国連でGDPでは測れない豊かさを示す「新国富指標」を定めるなど、マクロ視点で社会課題に取り組んでいました。しかし、社会や消費者に直接影響を与えるには、企業単位さらには製品・サービス単位での評価に踏み込む必要性が見えてきました。

私自身、元々コンサルティングファームで、CO2排出量や水の使用量削減によって企業の時価総額にどう影響するかを算出するAIを開発していました。ただ、企業単位でESG目標が立てられても、具体的な解決策が見えないと前に進まない。だからこそ、製品・サービス単位での評価が重要だと感じていました。

キーリー

私が馬奈木研に参加したのは、国の持続可能性を高めたいという思いからです。馬奈木研は、当時から企業との共同研究に力を入れており、単なる研究発表ではなく、実際に社会課題に対する「成果」を追求していました。
そんな折、武田さんのハーバードでの研究に参加させていただきました。そこで、国単位で見ていたESG評価が、企業や消費者にもっと近い、製品・サービスのレベルに落とし込めるということが見えてきたと。自分がやるべきことが、明確になりましたね。

武田

私が製品・サービス単位でのESG評価が必要だと思ったのは、潜在的な市場の大きさなどではなく、そこに「一番の困りごと」があったからです。
私たちは大学として、さまざまな企業から相談を受けてきましたが、現場の担当者のニーズとして最も切実だったのがそこでした。

本来、アカデミアの役割は、新しい領域を開拓し、社会に役立てることにあります。特にESGという領域は、まだ理念だけが先行している状況。だからこそ、アカデミアとして、社会に対して「何が正しいか」を示していく必要があると考えています。
アカデミア発のスタートアップとして社会に果たすべき役割が、ちょうど合致したのがaiESGのサービスだと思っています。

私たちが開発したAI技術は、製品・サービス単位で、さらにサプライチェーン全体を遡ってESG評価を可能にする、世界初のものでした。それまで多くの企業はサステナビリティ対応に不満を抱えていましたが、私たちはそれをAI技術でクリアし、「実用的」なソフトウェアとして進化させ、現在のサービスをリリースするに至りました。

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【ボードメンバー対談|後編】社会と企業の理想を叶えるために、aiESGが果たす役割。
写真
Katayama Asami
Corpolate Development 部
「人々・社会・企業が、地球環境と調和し共存できる方法や解決策を探求しながら提案実現してゆくこと」をライフワークとし、広報PRやプロジェクトマネジメントを多数経験。アメリカの環境先進都市と呼ばれるオレゴン州ポートランドで、持続可能な都市開発を学ぶ。帰国後、国際環境NGO、コンサルティング会社、環境ソーシャルベンチャーに勤務後、現在aiESGでは、サステナビリティースペシャリストとして、広報PRに従事。
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