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はじめに
ウェルビーイング、自然資本、人的資本といった「非財務」の価値は、企業や自治体の活動において重要性を増しています。とはいえ、こうした抽象的な概念は「測れないもの」として捉えられがちです。しかし今、国際的にはこうした価値を定量的に評価する動きが加速しています。国連をはじめとする機関では「Beyond GDP(GDPを超えた成長指標)」を掲げ、幸福や持続可能性を数値で把握する枠組みが整備されつつあります。
本稿では、国連の報告記事で紹介された、九州大学馬奈木研究室が関わる2つの代表的研究を取り上げるとともに、それらの知見を活かしたaiESGの社会実装支援の一端をご紹介します。ウェルビーイングや自然資本といった非財務的な価値を「どう測ればよいか」に関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
「Beyond GDP」:人類の豊かさを再定義する新たな成長指標
経済成長を示す代表的な指標であるGDP(国内総生産)は、長年にわたり政策や投資判断の基準とされてきました。しかし、環境破壊や格差拡大といった負の側面を捉えきれないという限界が指摘されています。こうした背景のもと、国連をはじめとする国際機関では、GDPを超えた「人類の真の豊かさ」を測定する新たな指標群、いわゆる「Beyond GDP」指標の整備が進められています。
国連のSDG Knowledge Hubでは、「Beyond GDP」の代表的取り組みとして、以下の2つの研究が取り上げられています(掲載元記事)。
いずれも、我々aiESGの母体である九州大学馬奈木研究室から発表された研究です。
- 新国富指標:未来の豊かさを測る指標(Science誌 、 Nature誌 姉妹誌掲載)
- 自然資本・人的資本・生産資本を統合し、経済成長の“土台となる資本“の劣化・蓄積を貨幣価値で見える化
- 将来世代に残る「持続可能な富」を数値化する指標
- ウェルビーイング指標:生活の質を定量的に把握(Sustainability Science掲載論文)
- 健康・教育・環境・所得といった要素を統合し、地域や社会単位でのウェルビーイング(幸福度)を定量的に把握可能に
- 政策評価や企業の非財務価値の開示に応用可能
参考コラムの紹介
この分野は先進的かつ専門的な内容であるため、以下の日本語コラムも併せて読むことで、企業実務の文脈でも理解が進みます。
- GDPを超える「持続可能な成長」指標とは(RIETIコラム)
→ 資本ベースの新たな成長概念や、Well-beingとの関係を分かりやすく解説。 - 人的資本とWell-beingの経済政策への接続(RIETI特集)
→ 特に教育・健康といった人的資本がもたらす社会的厚生に焦点を当てた特集。
「測れない」を「測る」へ——非財務価値の可視化に向けて
企業や自治体の間でも、ウェルビーイングや自然資本といった非財務要素をどう定量化し、説明責任ある形で開示するかは、重要な課題となっています。その一方で、「幸福」や「将来の富」といった概念は抽象的であり、数値化できないと思われがちです。
しかし、今やそれは国連レベルで体系化が進む「測れるもの」になりつつあります。そして、そのモデル構築・評価手法といった技術的な基盤を有する数少ない組織のひとつが私たちaiESGです。
私たちは、企業のサステナビリティ部門・財務部門・統合報告担当者などが直面する次のような課題に対し、科学的根拠と実装可能性のあるソリューションをご提供します。
- 自社の活動が社会的な価値やウェルビーイングにどう貢献しているかを見える化したい
- 投資家や社内への非財務情報の定量的な説明力を高めたい
本記事は、aiESGの母体である九州大学馬奈木研究室による研究成果と、国連の紹介記事に基づき構成しています。ウェルビーイングや包括的な資本評価に関心のある企業・自治体の皆様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
aiESGのサービスについて:https://aiesg.co.jp/service/